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自治体の皆さまへ

居心地が良い場所

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山形県 山形市

▼市立図書館中央分館中央公民館

株式会社井上貴詞建築設計事務所 代表取締役 井上貴詞氏

▽リノベーションのポイントを教えてください。
これまで灰色のタイルだった床を濃藍色のカーペットに変えているのですが、この濃藍色というのは夜明け前や日没後の空の色で、人の心をリラックスさせてくれます。また、橙や黄色に近い木製家具の補色となることで家具の存在がより目立つようになり、木質感にあふれた図書館という雰囲気を効果的につくりだしています。硬いタイルから柔らかいカーペットへと材質の質感の変化により、無機質な施設感が消えて、居心地の良い空間という印象が生まれました。このように、コストを抑えながら、色や素材を工夫するだけで、空間の印象を一変したこと。それが大きなポイントです。

▽他に留意したところはどのようなことですか。
「自然が身近にある」という山形市の良さを感じられるような工夫です。この場所が4、5階という高層階にあるという利点を生かし、窓辺を有効活用してカウンターを作りました。これによって勉強や読書などをしているときでも、ふと顔を上げれば窓から山々が見えるようになりました。山形の身近な自然の美しさや移ろいに気付く場にもなればと思います。

▽本を読むだけでなくさまざまな使い方ができそうな印象を受けます。
勉強や読書に集中できる静かなスペースもあれば、話しながらくつろげるスペース、子どもに読み聞かせができるスペースなど、いろんな人が思い思いの過ごし方ができる空間を目指しました。勉強する場合でも、一人で机に向かって集中できたり、グループワークやディスカッションができたりと、多様化している学習形態に対応できるようバリエーションを設けました。多様な人の居場所になるようにと考えています。

▽1階のブックポストにキャラクターを描いた意図はなんでしょうか。
一般的に図書館というのは本を借りに行ったり、読みに行ったり、自分から出向く場所ですが、もっと本自体が人に寄り添ってくるような関係性を表現できないだろうかと考えました。そこで本をモチーフにしたキャラクターを作り、館内各所に登場することで、キャラクターの方から歩み寄ってくるような親近感を感じてもらおうと考えました。「あれ、なんだろう?」と見つけてもらい、物語を想像してもらえたらうれしいですね。

▽実際に完成後の利用者の様子を見て、どう思いましたか。
非常に多くの方々に利用していただくようになり、想像以上の効果が出ていると感じます。学校帰りに立ち寄って勉強している高校生、パソコンを広げる大学生や社会人、飲み物や食べ物を持って来て遊ぶ小学生など、いろんな人が自分の目的に合わせた利用の仕方をしてくれています。この新しい印象をまとった中央公民館と図書館がこれからますます大勢の人の居場所となってくれるのを楽しみにしています。

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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